こんにちは、土地家屋調査士のはるです。
建物を新築した際には、建物表題登記の申請を法務局に行う必要があります。
このとき申請書には「屋根の種類」を記載しますが、建築確認やカタログなどの商品名のままでは登記上の名称として使用できない場合が多いのです。
屋根については、建築確認や建築図面で商品名などが記載されておりますが、登記には使用できない名称となっている場合が多く、そのままの名称を書くと、補正の対象になる可能性があるため注意が必要です。
この記事では、登記の際に使用される正式な屋根名称と、近年の新築建物で多い6種類の屋根について、実務的な視点でわかりやすく解説します。
個人で建物表題登記を申請する方や、補助者の方の参考になれば幸いです。
近年の建物登記でよく使われる屋根の種類6選
今回は近年の新築建物で多い6種類の屋根を厳選しました。
- かわらぶき
- スレートぶき
- 陸屋根
- ルーフィングぶき
- 合金メッキ鋼板ぶき
- ソーラーパネルぶき
注意
「ぶき」は登記上、漢字ではなく平仮名表記が原則です。
では、それぞれの屋根についてまとめていきます。
かわらぶき


| 適用法令 | 屋根の種類による区分 | 屋根ぶき材料 | 建築確認などの名称 | 備考 |
| 不動産登記規則 | かわらぶき | 粘土 | 瓦葺 陶器瓦葺き など |
昔ながらの日本家屋や戸建て住宅でよく使われる屋根です。
建築確認上は「瓦葺」「陶器瓦葺き」などと記載されていますが、登記では「かわらぶき」となります。
スレートぶき


| 適用法令 | 屋根の種類による区分 | 屋根ぶき材料 | 建築確認などの名称 | 備考 |
| 不動産登記規則 | スレートぶき | 繊維強化セメント(化粧スレート)(着色、塗装加工を含む) | 平形屋根スレート 平板屋根スレート 彩色スレート板葺 カラーベスト葺 コロニアルクアッド コロニアル葺 など | 石綿を原料に用いた製品は、平成 16年以降製造使用禁止 |
現在の住宅街で最も普及している屋根のひとつです。
見た目が薄く、モダンな住宅によく使われます。
登記では建材名ではなく「スレートぶき」と統一します。
陸屋根

| 適用法令 | 屋根の種類による区分 | 屋根ぶき材料 | 建築確認などの名称 | 備考 |
| 不動産登記規則 | 陸屋根 | 防水層(アスファルト防水、シート防水、塗膜防水、モルタル防水、繊維強化プラスチック(FRP)防水、金属板防水等)を施した勾配がわずかな歩行可能な屋根 | FRP防水 シート防水 など | 木造を含む。 勾配は水勾配程度とする。 勾配が少ない屋根であっても、折 板、波型、リブ形状等の材料を用いている場合は、ごく緩やかな片流れ屋根(勾配屋根)に分類し、陸屋根には含めない。積雪地域にみられる無落雪屋根も、同様に陸屋根には含めない。 |
陸屋根は「歩行可能な平面屋根」を指します。
ポイントは、勾配がほぼないということです。
ルーフィングぶき

| 適用法令 | 屋根の種類による区分 | 屋根ぶき材料 | 建築確認などの名称 | 備考 |
| 不動産登記事務取扱手続準則 | ルーフィングぶき | アスファルト、砂材を吹き付けた板紙、ガラス繊維シートなど | シングル葺 アスファルトシングル葺 など |
ルーフィングぶき屋根はあまり聞きなじみがないかもしれません。
一見、スレートぶき屋根のように見えますが、材質や施工が異なります。
合金メッキ鋼板ぶき

| 適用法令 | 屋根の種類による区分 | 屋根ぶき材料 | 建築確認などの名称 | 備考 |
| 不動産登記事務取扱手続準則 | ルーフィングぶき | アルミニウム、亜鉛等の合金によるメッキ鋼板(着色、塗装、塗膜、ラミネート加工を含む) | ガルバリウム鋼板 ジンカリウム鋼板 ディプロマット ディプロⅡ など |
合金めっき鋼板屋根は金属製の屋根です。
「ガルバリウム屋根」や「ディプロマット」などの商品名が使われがちですが、登記上は「合金メッキ鋼板ぶき」が正式名称です。
ソーラーパネルぶき
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| 適用法令 | 屋根の種類による区分 | 屋根ぶき材料 | 建築確認などの名称 | 備考 |
| 参考事例 | ソーラーパネルぶき | 建材型太陽光発電用ソーラーパネル板 | ガラス張太陽電池用パネル など | 建材型太陽光発電用ソーラーパネ ルに限る。 架台により設置されたものは除く。 |
近年、太陽光パネルが設置された屋根が多くなりましたが、ソーラーパネルぶき屋根は屋根とソーラーパネルが一体化したものです。
太陽光パネルを後付けで設置した屋根は「ソーラーパネルぶき」には該当しませんので注意してください。
以下、その他の屋根についても参考で掲載しておきますのでお役立てください。
屋根の構成材料と屋根の種類による区分
| 適用法令 | 屋根の種類による区分 | 屋根ぶき材料 | 備考 |
| 不動産登記規則 | 亜鉛メッキ鋼板ぶき | 亜鉛メッキを施工した鋼板 (着色、塗装、塗膜、ラミネート加工を含む) | 昭42.12.13民亊三発第696号民事局 第三課長回答参照 |
| 不動産登記規則 | 草ぶき | あし、わら、かや、麦わら等の天然の植物性材料 | |
| 不動産登記事務取扱手続準則 | セメントかわらぶき | セメント 高分子繊維強化セメント(厚型スレート) (着色、塗装加工を含む) | 瓦形状のものを指す。 |
| 不動産登記事務取扱手続準則 | アルミニューム板ぶき | アルミニューム板 (着色、塗装、塗膜、ラミネート加工を含む) | |
| 不動産登記事務取扱手続準則 | 板ぶき | 杉、ひのき、くり、松、さわら等の板材 | 薄板に加工して重ねぶきにしたもの。 |
| 不動産登記事務取扱手続準則 | 杉皮ぶき | 杉、ひのき等の樹皮 | 樹皮をはいで重ねぶきにしたもの。 |
| 不動産登記事務取扱手続準則 | 石板ぶき | 天然石板 | |
| 不動産登記事務取扱手続準則 | 銅板ぶき | 銅板 | 銅メッキが施された他の金属系材料 と混同しないよう留意すること。 |
| 不動産登記事務取扱手続準則 | ビニール板ぶき | 繊維強化プラスチック(FRP)板 網入硬質塩化ビニール板 硬質塩化ビニール板 ポリカーボネート板 | 昭40.1.25民亊三発第93号民事局第 三課長回答参照 昭45.1.7民亊三発第646号民事局第 三課長回答参照 |
| 以下参考事例 | コンクリート屋根 | 鉄筋コンクリート又はデッキプレートの上に現場にて打 設した気泡コンクリートに、塗装又は塗膜防水を施した、 勾配のある屋根 | 勾配屋根に限る。勾配なしは、陸屋 根とする。 防水層を塗装又は塗膜に限定する。 鋼板、シート等を用いた場合は、そ の防水層の素材をもって屋根の種類 とする。 |
| コンクリート板ぶき | シェル工法のPC板、ALC屋根板等のコンクリート二次 製品に、塗装又は塗膜防水を施した、勾配のある屋根 | 勾配屋根に限る。勾配なしは、陸屋 根とする。 プレキャスト製品に塗装又は塗膜防 水を施したもの。 鋼板、シート等を用いた場合は、そ の防水層の素材をもって屋根の種類 とする。 | |
| ガラス板ぶき | 網入ガラス板 光波ガラス板 | 建材型太陽光発電用ソーラーパネ ルは、ソーラーパネルぶきとする。 | |
| 空気膜屋根 | ガラス繊維膜等を屋根部分に張り、常に屋内の空気圧 を外気圧より高めることで膜屋根を支持するもの | 昭60.8.8民三第4768号民事局長回答 参照 東京ドームの屋根です。 | |
| 張力膜屋根 | ガラス繊維膜等を鉄骨等の構造に張り、張力を与えたも の | ||
| 樹脂シートぶき | 合成樹脂シート | 勾配屋根に限る。 勾配なしは陸屋根。 | |
| ステンレス鋼板ぶき | ステンレス鋼板 (各種メッキ、着色、塗装、塗膜、ラミネート加工を含む) | 銅メッキが施されたものを銅板ぶきと 混同しないよう留意すること。 | |
| アルミニュームメッキ鋼板ぶき | アルミニュームによるメッキを施工した鋼板 (着色、塗装、塗膜、ラミネート加工を含む) | ||
| 鋼板ぶき | 従来の定めにない金属板 (各種メッキ、着色、塗装、塗膜、ラミネート加工を含む) | 規則及び準則に規定される金属製 屋根材並びにステンレス鋼板ぶき及 びアルミニュームメッキ鋼板ぶきに該 当しない、金属素材を用いた屋根材 を鋼板ぶきとする。 |