こんにちは、土地家屋調査士のはるです。
この記事では不動産登記における、階段部分の床面積の考え方について事例ごとに土地家屋調査士が解説していきます。
最後まで読んでいただくことで、どういうパターンの時に階段部分の上階が床面積に含まれるのか、含まれないのかが明確になります。
ぜひ参考にしてください!
では、さっそく
令和4年6月に法務省より階段部部分の上階について、床面積の考え方についてモヤモヤが解決する事務連絡がありましたのでご紹介します。
具体的な写真を使用して事例1から事例6まで解説していきます。
階段部分の横に吹抜があるのか、ないのか、によって結論が変わるので注意してください。
事例1:階段部分の両面が壁で囲まれている場合(吹抜なし)


事例1の結論
階段部分の上階は床面積に含まれます。(床面積算入)
事例1は最もオーソドックスな階段ですよね。
このような階段は階段部分の上階も床面積算入となります。
事例2:階段部分の片面が腰壁手すりである場合(吹抜なし)


事例2の結論
階段部分の上階は床面積に含まれます。(床面積算入)
事例2も比較的オーソドックスですね。
事例1とは異なり手すり部分が腰の高さほどになっています。
このような階段も事例1と同様、階段部分の上階は床面積算入となります。
事例3:階段部分の片面が格子手すりである場合(吹抜なし)


事例3の結論
階段部分の上階は床面積に含まれます。(床面積算入)
格子手すりとは
柵上のオープン手すりやスケルトン階段等であって、壁の用をなしていない手すりのことです。
・柵上のオープン手すりは事例3のような階段です。
・スケルトン階段は事例6のような階段です。
事例3は今まで土地家屋調査士を悩ませていたのではないかと思っています。
しかし、令和4年6月の法務省による事務連絡によって明確になりました。
階段部分の片面が格子手すりである場合は階段部分の上階は床面積算入となります。
この結論に対しては私含め、他の調査士も疑義があったように思います。
というのも、この事務連絡があるまでは事例3について、法務局の回答は階段部分の上階は床面積不算入という見解もあったからです。
建築確認では算入されていることがほとんどですので、建築関係の法令と見解が一致するようになります。
事例4:吹抜部分に設置された階段部分の両面が壁で囲まれている場合(吹抜あり)

事例4の結論
階段部分の上階は床面積に含まれます。(床面積算入)
事例1のような階段横に吹抜があったとしても階段部分の上階は床面積算入となります。
もちろん、吹抜部分は床面積不算入です。
事例5:吹抜部分に設置された階段部分の片面が腰壁手すりである場合(吹抜あり)


事例5の結論
階段部分の上階は床面積に含まれます。(床面積算入)
事例2のような階段横に吹抜があったとしても階段部分の上階は床面積算入となります。
もちろん、吹抜部分は床面積不算入です。
事例5については土地家屋調査士試験をよく勉強されている方は床面積不算入ではないの?
と疑問に思われるかと思います。
実務では事例5の階段部分の上階は床面積算入となりますので注意が必要です。
事例6:吹抜部分に設置された階段部分の片面が格子手すりである場合(吹抜あり)


事例6の結論
階段部分の上階は床面積に含まれません。(床面積不算入)
事例6は土地家屋調査士試験でも登場する有名な論点ですね。
写真の階段はスケルトン階段と呼ばれ、階段室とはなっていません。
建築確認では階段部分の上階が床面積算入されていることが多いですが、不動産登記では床面積不算入となります。
もちろん、吹抜部分は床面積不算入ですので、結果として吹抜部分と階段部分が床面積が不算入となります。
まとめ
まとめ
原則、階段部分の上階は床面積算入であるが、
吹抜が横にあり、階段部分が格子手すりである場合、
階段部分の上階は床面積が不算入となる。
※格子手すりとは柵上のオープン手すりやスケルトン階段等のこと
今回の法務省からの事務連絡により、階段部分の上階の床面積算入の可否はだいぶ明確になったように思います。
近年の建築物はデザインが豊富で登記をする際に床面積で悩むことが多くなってきていますが、こうした統一見解を示してもらえるのはありがたいことですね。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
今回の記事を実務のお役に立てていただければ幸いです。