こんにちは、土地家屋調査士のはるです。
今回は『調査士報告方式を導入したい』と思ってもらえるように調査士報告方式のメリットや魅力そして注意点をお伝えします。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、調査士会や法務局も調査士報告方式の申請方式を推奨しています。
最後まで是非ご覧ください。
調査士報告方式のメリット
調査士報告方式のメリット
・法務局へ行く必要がない
・郵送もなくなるので経費削減になる
・登録免許税の納付が登記官の調査終了後の後納が可能
・登記完了がリアルタイムで分かる
・法務局へ行く必要がない
登記申請後や登記完了時はもちろんですが、補正の際も法務局へ行かずに作業が完結できます。
そのため、法務局へ行く時間がなくなるの他の業務に時間を充てることが出来ます。
実際に半ライン方式からこの調査士報告方式に変更して感じたことですが、法務局へ行かなくてよくなったことでその時間を有効活用できます。
遠方の法務局に紙の書類を補正に行くのは本当に大変でした。
それも含めてオンライン上で全て完結できるの感動ですね。
・郵送もなくなるので経費削減になる
従来は不動産登記令13条第1項方式(半ライン方式)の申請の際も書面の原本提示が必要でした。
そのため、ほとんどの調査士事務所は直接法務局へ行ったり、郵送していたと思います。
郵送がなくなるのでレターパックプラス(520円)で郵送の場合は往復送料が1,040円経費削減できます。
経費削減だけでなく、郵送するための作業や法務局から返却された郵送物の処理作業もなくなるのでその時間も削減できます。
さらに、嬉しいのは書面の原本が事務所にあるので登記完了後、お客様に登記完了証とお預かりした書類をすぐに返却できることですね。
・登録免許税の納付が登記官の調査終了後の後納が可能
ちなみに申請時に先納付ももちろん可能です。
メリットと考えられるケースは例えば
取下げの時ですかね。
従来は取下げの際は登録免許税の還付処理が面倒でした。
登記官の調査周後に後納できるようになったので取下げが必要な時も面倒な処理が不要になります。
・登記完了がリアルタイムで分かる
今までみなさんは自分が申請した登記をどのように知りますか?
半ラインの方は申請ソフトから分かるかと思います。
紙申請の方は登記情報提供サービスで登記記録が取得できるか確認したり、実際に法務局に請求してみたりしているのではないでしょうか。
調査士報告方式では申請ソフトで進捗がリアルタイムで分かるので非常に便利です。
さらにそのまま登記完了証も印刷できます。
調査士報告方式の注意点
注意ポイント
・登録免許税の納付方法は電子納付のみ
・登記完了証の交付はPDFのみ
・登記識別情報の交付はPDF又は申請登記所の窓口による書面交付のみ
・権利に関する承諾書等が添付情報に含まれる申請は不可
・登録免許税の納付方法は電子納付のみ
収入印紙での納付は不可です。
電子納付のみとなります。
・登記完了証の交付はPDFのみ
登記完了証の交付は申請ソフトにある電磁的記録(PDF)のみとなります。
従来のように書面による交付が必要な場合は調査士報告方式による申請はできません。
・登記識別情報の交付はPDF又は申請登記所の窓口による書面交付のみ
登記完了証と同様の取扱いです。
しかし、登記識別情報は調査士会から要望があったのか分かりませんが、申請登記所の窓口で書面による交付も可能となっています。
実務では窓口交付が一般的ですね。
・権利に関する承諾書等が添付情報に含まれる申請は不可
例えば、
抵当権消滅承諾が添付される分筆登記などは調査士報告方式による申請はできません。
令和元年10月7日付けの法務省民二第187号依命通知・別紙に記載にあるとおり、権利に関する承諾書等が添付情報に含まれるものは調査士報告方式による申請が不可となります。
調査士報告方式の申請方法(要点)
申請方法の要点をまとめておきます。
調査士報告方式の申請方法では『申請情報』と『規則93条調査報告書』に『調査士報告方式』であることが分かるように記録する必要があります。
ポイント
・申請情報の『その他事項』欄に『調査士報告方式により原本提示省略』と記録する
・規則93条調査報告書の『補足・特記事項』欄に『添付した電磁的記録については、当職において添付情報が記載された書面を確認した上で、当該書面をスキャナにより読み取って作成した電磁的記録である。』旨を記録する
半ライン方式で申請している方は上のように作成するだけで調査士報告方式による申請ができます。
とても簡単ですよね。
最後に、作成の際に重要なことをお伝えします。
調査士報告方式で申請する際の重要事項
調査士報告方式では書面による原本提示が省略できます。
しかし、当たり前ですが調査士による原本確認は必要です。
略、添付情報(申請人又はその代表者若しくは代理人が作成したもの並びに土地所在図、地積測量図、地役権図面、建物図面及び各階平面図を除く。)が書面に記載されているときは、当該書面に記載された情報を電磁的記録に記録したものを添付情報とすることができる。この場合において、当該電磁的記録は、当該電磁的記録を作成した者による電子署名が行われているものでなければならない。
不動産登記令第13条第1項
さらに、調査士報告方式では調査報告書の記録するとおり、『添付した電磁的記録については、当職において添付情報が記載された書面を確認した上で、当該書面をスキャナにより読み取って作成した電磁的記録ある』旨を記録することになっています。
これらは、申請代理人である土地家屋調査士が自ら書面により作成された原本を確認した上で、自ら当該書面をスキャナにより読み取って電磁的記録(PDF)を作成し、当該土地家屋調査士が自ら電子署名を行わなければならないということです。
当該土地家屋調査士が原本を確認せず、電磁的記録(PDF)に電子署名し申請することは許されません。
また、PDFファイルには作成者や作成情報が記録されているため、PDF作成が誰であるか推定することができます。
さらに、登記官は添付情報の真正性に疑義がある場合は原本提示を求めることが出来ます。
少なくとも登記完了までは添付情報の原本を土地家屋調査士が保管しておく必要があります。
今回は以上となります。
いかがだったでしょうか。
登記申請が円滑に行えるようになった調査士報告方式はメリットしかありません。
まだ導入していない土地家屋調査士の方は是非、調査士報告方式を活用してください。
『調査士報告方式の運用方法』については以前公開しております。
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