こんにちは!土地家屋調査士、測量士のはるです。
土地家屋調査士になっても仕事がないのでは?と不安に感じている方はぜひ最後までお読みください!
土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記の独占業務を行うことができる資格ですが、景気の悪化や人口減少などで仕事が減っていると言われることがあります。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
私の結論としては仕事はあります!
この記事では、土地家屋調査士の仕事がないと言われる理由や実際の需要、今後の展望などを解説します。
土地家屋調査士の仕事がないと言われる理由
土地家屋調査士の仕事がないと言われる理由は主に以下の3つです。
- 不動産取引が減少している
- AIやシステム化による業務効率化
- 報酬額の自由化による価格競争
不動産取引が減少している
不動産取引は、土地家屋調査士の主な仕事源です。しかし、不動産市場は景気や人口動態などに大きく影響されます。
特に、人口減少や高齢化により、住宅需要や投資需要が低下していると言われています。
また、近年は消費税増税やコロナ禍で経済活動が停滞による影響もありました。
これらの要因により、不動産登記の件数も減少傾向にあります。
以下は法務省の「登記統計」のデータに基づき作成しました。
上図から分かるように、建物は平成30年に消費税増税前の駆け込み需要もあり、一時的に増加に転じましたが、令和元年10月1日の消費税増税の影響により減少傾向にあります。
このように、不動産取引が減少すると、土地家屋調査士の仕事も減少すると考えられます。
AIやデジタル化による業務効率化
土地家屋調査士の仕事は、基本的には現場調査や測量、図面作成、登記申請などの手作業です。
しかし、近年ではAIやデジタル化により業務効率化が進んでいます。
例えば、以下のような活用が考えられます。
- ChatGPT等の生成系AIを活用した申請書等を含む各種書類の作成
- ドローンとAIを組み合わせた測量技術
これらの技術は、土地家屋調査士の業務を簡素化や高速化することができますが、同時に仕事の量や価値を減らす可能性もあります。
報酬額の自由化による価格競争
土地家屋調査士の報酬額は、2003年(平成15年)に自由化されました。それまでは、法務省が定めた基準報酬額に基づいて決められていました。
報酬額の自由化は、土地家屋調査士にとっては自由な価格設定ができるメリットがありますが、同時に価格競争が激化するデメリットもあります。
特に、インターネットやSNSなどで情報が拡散されやすくなった現代では、簡単に複数の土地家屋調査士の見積もりを比較できます。
そのため、安くて早くて質の高いサービスを提供しなければ、顧客を獲得することが難しくなっています。
土地家屋調査士の仕事がないと言われる理由は以上のようになりますが、これらはあくまで一面的な見方です。
実際には、土地家屋調査士の仕事は需要があると言えます。次にその理由を見ていきましょう。
土地家屋調査士の仕事は需要がある
土地家屋調査士の仕事はまだまだ需要があると言える理由は主に以下の3つです。
- 相続や土地の境界確定などの需要は安定している
- 働き方改革や新たな業務も生まれている
- 資格取得者数は減少傾向にある
- 多忙で依頼をお断りしないといけない時もある
相続や土地の境界確定測量などの需要は安定している
相続や境界確定測量などの需要は安定しています。
これらの場合の多くは土地の境界(筆界)を明確にする必要があるためです。
例えば売買などをする場合は売買契約書にも明記されていることもあり、売主さんの負担で確定測量を実施することが多いです。
また、相続により土地を取得したが、お隣との境が不明な場合も少なくありません。
土地家屋調査士の仕事は登記だけでなく、土地の境界(筆界)の専門家として境界紛争を未然に防ぐということも大切な仕事の一つです。
このように、境界確定測量などの需要は安定しており、土地家屋調査士の仕事も安定しています。
働き方改革や新たな業務も生まれている
AIやデジタル化による業務効率化は、土地家屋調査士にとってもメリットがあります。
それは、働き方改革や新たな業務を生み出すことです。
例えば、以下のようなメリットがあります。
- ドローンやAIを使えば現場調査や申請書類作成の時間やコストを削減できる
- オンラインで行える登記申請は、法務局とのやりとりや移動の手間を省ける
- AIやデジタル化に対応できる土地家屋調査士は、差別化や付加価値を高めることができる
このように、AIやデジタル化による業務効率化は、土地家屋調査士にとってもチャンスとなります。自分の強みや特徴を活かして、新しい働き方や業務を展開することができます。
土地家屋調査士の登録者数は減少傾向にある
土地家屋調査士試験は、非常に難易度が高い試験です。合格率は約10%程度で、独学では合格が困難な場合が多いです。
また、土地家屋調査士の登録者数は減少傾向にあります。以下は土地家屋調査士白書のデータです。
上図から分かるように、土地家屋調査士は年々減少傾向にあります。
このように、登録者数が減少すると土地家屋調査士の供給量も減少します。その結果、需要と供給のバランスが崩れて、仕事が増える可能性もあります。
多忙で依頼をお断りしないといけない時もある
これは私の事務所の話ですが、有難いことに業務が多忙でご依頼をお断りせざるを得ないこともあります。
なかには「どこも断られてしまって何とか受けてもらえないですか?」とお願いされることもあります。
こういった現状からも仕事量は十分にあるのではないかと思っています。
土地家屋調査士の仕事は需要があると言える理由は以上のようになります。しかし、これらの理由だけでは不十分です。
土地家屋調査士として成功するためには、今後の展望も見据えておく必要があります。
次にその点を見ていきましょう。
土地家屋調査士の今後の展望
土地家屋調査士として今後も仕事を続けていくためには、以下の3つのポイントを意識することが大切です。
- 常に最新の知識や技術を学ぶ
- 顧客満足度や信頼度を高める
- 独立開業する場合は事務所運営に注意する
常に最新の知識や技術を学ぶ
土地家屋調査士の仕事は、不動産登記法や測量法などの法律や規制に基づいて行われます。しかし、これらの法律や規制は時代や社会情勢に応じて変更されていきます。
例えば、令和元年11月11日から調査士報告方式(完全オンライン申請)が運用開始され、土地家屋調査士が代理申請する場合は原則オンラインで登記申請を完結できるようになりました。
このように、土地家屋調査士の仕事に関する法律や規制は常に変化しています。そのため、常に最新の知識や技術を学ぶことが必要です。
また、AIやデジタル化による業務効率化にも対応できるように、自分のスキルやサービスをアップデートしていくことが大切です。
顧客満足度や信頼度を高める
土地家屋調査士の仕事は、顧客との信頼関係が非常に重要です。
不動産登記は法的な手続きであり、顧客は土地家屋調査士に高い専門性や責任感を求めます。
そのため、顧客満足度や信頼度を高めることが、仕事を継続的に獲得するためのポイントです。
具体的には、以下のようなことが挙げられます。
- 顧客のニーズや要望をしっかりとヒアリングする
- 顧客に分かりやすく説明や報告をする
- 顧客からの問い合わせやクレームに迅速かつ丁寧に対応する
- 顧客とのアフターフォローやリピート対策をする
これらのことを行うことで、顧客からの評判や口コミが良くなり、仕事の依頼や紹介が増える可能性があります。
独立開業する場合は事務所運営に注意する
土地家屋調査士は、資格取得後に独立開業することができます。
しかし、独立開業する場合は、事務所運営に注意する必要があります。
具体的には、以下のようなことが挙げられます。
- 事務所の初期費用や維持費を抑える
- 人脈やネットワークを構築する
- 立地や集客方法を考える
事務所の初期費用や維持費を抑える
独立開業する場合は、事務所の初期費用や維持費がかかります。例えば、以下のような費用があります。
- 賃料や光熱費
- 測量機器や図面作成ソフトなどの導入費用
- 備品費用
- 土地家屋調査士会の会費、保険料や税金
事務所の初期費用や維持費を抑えることができれば、利益率を高めることができます。
具体的には、以下のような方法があります。
- 自宅兼事務所を利用する
- シェアオフィスやレンタルオフィスを利用する
- 中古品やリース品を利用する
これらの方法は、初期投資や固定費を削減できるメリットがあります。
人脈やネットワークを構築する
独立開業する場合は、人脈やネットワークを構築することが重要です。人脈やネットワークとは、以下のようなものです。
- 顧客や紹介者
- 同業者や協力者
- 業界団体や行政機関
これらの人脈やネットワークを構築することで、以下のようなメリットがあります。
- 仕事の依頼や紹介が増える
- 情報交換や相談ができる
- 研修やセミナーに参加できる
- 認知度や信頼度が高まる
人脈やネットワークを構築する方法は、以下のようなものがあります。
- SNSやブログなどで情報発信する
- 同業者や業界団体と交流する
- 行政機関や地域社会と連携する
これらの方法は、自分の存在や価値をアピールできるとともに、他者との関係性を深めることができます。
立地や集客方法を考える
独立開業する場合は、立地や集客方法を考えることも大切です。立地とは、事務所を開設する場所のことです。集客方法とは、顧客を獲得する方法のことです。
立地については、以下のようなポイントを考慮することができます。
- 需要の多いエリアかどうか
- アクセスの良さや駐車場の有無
- 競合他社の有無や規模
これらのポイントによって、事務所の集客力や収益性が変わってきます。需要の多いエリアであれば仕事が多くなりますが、競合他社も多くなります。アクセスの良さや駐車場の有無は、顧客にとって利便性が高まりますが、賃料も高くなります。
立地に関しては、自分の事業計画や目標に合わせて最適な場所を選ぶことが重要です。
集客方法については、以下のような方法があります。
- ホームページやブログなどで情報発信する
- チラシや名刺などで宣伝する
- 口コミや紹介で評判を広める
これらの方法は、自分のサービスや特徴を知ってもらうことができます。特に、インターネットを活用した情報発信は、低コストで広範囲にアピールできるメリットがあります。
集客方法に関しては、自分のターゲット層やニーズに合わせて効果的な方法を選ぶことが重要です。
土地家屋調査士の今後の展望は以上のようになります。
土地家屋調査士として今後も仕事を続けていくためには、常に最新の知識や技術を学び、顧客満足度や信頼度を高め、独立開業する場合は事務所運営に注意することが大切です。
まとめ
この記事では、土地家屋調査士の仕事がないと言われる理由や実際の需要、今後の展望などを解説しました。
土地家屋調査士の仕事がないと言われる理由は以下のようになります。
- 不動産取引が減少している
- AIやデジタル化による業務効率化
- 報酬額の自由化による価格競争
しかし、実際には土地家屋調査士の仕事は需要があると言えます。その理由は以下のようになります。
- 相続や土地の境界確定測量などの需要は安定している
- 働き方改革や新たな業務も生まれている
- 土地家屋調査士の登録者数は減少傾向にある
土地家屋調査士として今後も仕事を続けていくためには、以下の3つのポイントを意識することが大切です。
- 常に最新の知識や技術を学ぶ
- 顧客満足度や信頼度を高める
- 独立開業する場合は事務所運営に注意する
土地家屋調査士は、不動産登記に関する独占業務を行うことができる貴重な資格です。しかし、それだけでは仕事が続かない時代になっています。
土地家屋調査士として成功するためには、時代や社会の変化に対応できる柔軟性や創造性が求められます。
自分の強みや特徴を活かして、新しい価値を提供できる土地家屋調査士を目指しましょう。